2021/2/20〜21(土日)は赤石山脈南部の3,000m峰の聖岳へ。
北岳に池山吊尾根ルートを使い1人で登ろうと思ったら、Tマリさんもそこをやるとの事。
行く山が被ると甘えが出るし、ラッセル含め最初から最後までソロとは言いがたいなと、見栄えを気にし急遽聖岳に変更しました。
問題は聖岳にどこのルートで登るか。
静岡の畑薙第一ダムから椹島へ行き、冬季ルートで行くのが一番カッコイイ。
でも畑薙まで遠いし、沼平から椹島まで18kmも林道を歩くのはキツすぎるので、飯田市遠山郷の芝沢ゲートにする事としました。
聖岳登頂が第一目的で下山が早ければ ” 日本のチロル“こと下栗の里も行って見たかったのです。
あと遠山ジンギスカンも購入したい。
結果は全部達成出来ました。
人間、後が無いとやれるもんです。
2/17(木)に結構な降雪があり、ノートレースのラッセルは覚悟の上。
むしろその方がやり甲斐と言うか達成感がありました。
■2/19(金)
仕事後に国道153号線を使い自家用車で遠山郷へ。
22:00芝沢ゲートに到着し、ビール2本飲んで就寝。
ホンダスパイクは車中泊が最高に良い車。
ここはdocomoもauも圏外。
仕事の電話が入ってないかすごく心配だった。
■2/20(土)
3:50 起床
4:30 スタート
ここから易老渡まで4.4km林道歩きです。
途中の林道の崩壊酷く、様々な障害がありますが、夜なので撮影しませんでした。
帰りに撮影と説明をさせて頂きます。
6:05 便ヶ島キャンプ場到着。(タヨリガシマ)
易老渡から更に30分くらい奥にあるキャンプ場です。
もちろん今は廃屋ですが、昔は賑やかだった感じがします。
林道崩壊が無ければと思いますが、南アルプスはまだ若い山脈で成長と崩壊を速いスピードで繰り返してますので、林道作っても台風一つでまた崩壊するでしょう。
商売になりません。
便ヶ島キャンプ場の少し上に登るとトンネルと遊歩道が出てきました。
きっと森林鉄道だったのでしょう。
7:00 林道最終地点の西沢渡到着。(標高1,100m)
大きい廃屋がありました。
ここも昔はキャンプ場だった感じがします。
ここから2,400mの薊畑(アザミ畑)まで1,300mの尾根ルート急登です。

今日の荷物は20kgと普段より軽めも、ここは結構キツイし長い。
1,700mからラッセル。
1,900m苔平でワカンを履きましたが、ワカン装着タイミングは遅かったと思います。
いつも粘っちゃうんですよね。ダメ。
12:00 西沢三角点到着(2,314m)
標高1,100mから5時間かけて僅か1,200m登ってだけと言う。
あと100m登れば稜線であるアザミ畑ですが、ここから更に急登でキツイ。
12:35 薊畑(アザミ畑)到着。
森林帯を一気に抜けて出た先にど迫力の景色が。
「 あー、上河内岳も登りたいなー 」
聖も良いけど上河内岳に今まで行って事が無い事を思い出しました。
いつも肩を通り過ぎるだけでしたので。
13:15 2,478mピーク
聖岳がデカイ。
小聖までも大きく遠く見える。
さてどうするか、行くか止めるかの2択しか無いのだが、風が強く条件が悪い。
また、ここまで8:30の行動時間と残りの水の量、体力、テント設営場所等を複合的に検討する。
行く気になれば行けるが山頂到着は16:00前後、2,478mピークへの戻りは18:00過ぎになるだろう。
クタクタの状況でテント設営とお湯を作る事、夕方から冷え込む中で酷な作業だ。
風も15m〜20mは吹いており、途中で潰れたらテントも設営出来ず岩陰でビバークの可能性も無くも無い。
13:30 今日の行動をここで終了として2,478mピークの倒木の裏にテントを設営した。
我ながらテント設営場所を探すのは天才的。
ここまで食事を取って無かったので、遠山ジンギスカンと白米を真っ先に食べた。
バーナーは軽さ重視でBRS(2,400kcal)と出力低め。
お湯を作るのはこれ一つでは少し弱かった。
食事とお湯を作ったら疲れとテントの暖かさからグッスリ昼寝。
17:00頃
アーベントロートが始まったのでテントから数歩出て撮影。


撮影場所とテン場のバランスとしては中々良い位置だが、もう少し雲が多ければコントラストが濃くなりもっと良かったのに。及第点。
一回寝たら元気になった。
ビールを飲みたかったが、重くなるので今日は持ってきてない。
代わりに日本酒180ml×3とウイスキー270ml×2ほど。
熱燗とお湯割りで飲むとどっちも美味しいし身体が温まった。
この場所はauが普通に繋がるのでYouTubeを見ながら晩酌。(docomoは電波1本でメール以外使えず)
KIRINJIの「時間がない」と言う歌が、自分の今に被りこの夜何度も聞いた。
■2/21(日)
朝4:40起床も風も強いし、外はガスが濃く真っ白。
5:00まで寝袋の中で「今日も無理だな」ネガティヴになっていた。
気合いで起きて身支度。
お湯を再度1.5L作りながらカップ麺を食べ、コーヒーを沸かした。
散らかしたテントの中を整理し、デポするものと持参するものを選別。
6:30 ワカンを履き、日が登るタイミングで聖岳山頂に向けて出発した。
ガスでモルゲンは見れず。
でもピンクの雲がとてもキレイ。
風は昨日と変わらず15m〜20mほど。
尾根ルートが基本だが、藪もあるので雪が安定している事を確認しながら所々でトラバースも。
雪深く小聖まではヒザくらいまで沈みながら進む。
風が強い。
この辺で撤退の検討を1分程する。
急がず耐風姿勢をしながら1歩1歩確実に進めば行けると判断し再スタート。
兎や聖がどんどん近づく。
2日目の調子良さは相変わらず。
こんな深い雪も全然苦じゃない。
こんな大きい山塊に自分一人で挑んでいる。
その孤独感もたまらなく良いのだ。
7:35 小聖岳山頂
時間も予定通り。
ここで山頂までのラインがしっかり分かり行けると確信する。
痩せ尾根のコブを3つ乗り越え、ガレの淵でアイゼンとピッケルに装備変更。
ここは夏場に秘密の水場になるガレだ。
滑落の危険性があるので普通は使っては行けない水場。
もちろん今は雪に覆われており凍っている。
あとは最後300mの直登。
まるでテレビで一流登山家が登るヒマラヤのようだ。
風が強いので耐風姿勢と三点支持でよろけないようしっかり登る。
9:02 聖岳山頂
この条件で登った達成感から一言「 やったー 」と声に出した。
赤石も、更に奥の仙丈ヶ岳もキレイに見える。
ただ立ってられない。
身体を斜めにしないと保てない。
頂上に居たのは僅か3分。
兎岳も取りたいな。
そこからバリエーションの笠松山経由で芝沢ゲートに降りれば夕方までに降りれる。
2,478mピークにデポした事を後悔した。
■下山
当たり前だが、下ってみると改めてその高度感と急斜面が伝わってくる。
サスツルギを踏むと雪質の違いからか10cmくらい滑るので、雪質を読みながらアイゼンを蹴り込み、時にはクライムダウンでワカンデポ場所に降りた。
雪庇も出ており、踏み抜き注意。

小聖でワカンとストックに変更した。
さっきまであの上に居たのか。
何度も振り返って登ったラインの復習をした。
11:00 2,478mピークデポ到着
30分で大休憩と食事と撤収し11:30下山開始。
11:48 西沢三角点
ワカンを滑らせながら下るので速い。
あとはグダグダと下山。
13:50 西沢渡廃屋
ここ泊まりたいな。
どう言う生活してたのだろう。
手動のロープウェイは使わず、行きも帰りも沢を渡渉。
便ヶ島キャンプ場まで落石が酷い。
石が止めどなくゴロゴロ落ちてくるので、タイミング見て足速に通り過ぎます。
15:00 易老渡到着
崩壊場所は金網の上を行きました。
15:50 芝沢ゲート到着
ゲートには私以外の車が二台。
光岳に行ったのかな?
■下栗の里へ
すぐ着替えしらび平に向かう道で下栗の里へ。
12月に登った池口岳や加加森山はキレイに見えたら。
もちろん聖も。
ここ一度来たかったのですごく嬉しいです。
帰りに遠山郷道の駅の前のスーパーで遠山ジンギスカンを購入。
ノンアルビールで一人祝杯をあげた。
■最後に
二日間誰とも会いませんでした。(スーパーの店員さんくらい)
これが仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳、北岳なら複数登山者が居たでしょう。
すごく贅沢な時間でした。
やっぱり全て自分一人で組み立てて登ると達成感が違います。
ただ安易に真似しないようご注意下さい。