前夜20:40頃に就寝したが、寒くて何度も目が覚めた。
トイレも頻繁で自分自身がどうしてこんなに出て来るのか不思議な程。
氷点下は行って無いだろうが、夏にこの寒さは体験した事がない。
湯たんぽを作ろうとしたが、手がかじかみライターが付けれない。
息を手に吹きかけ何とか灯し湯たんぽを2本作った。
これをヴィヴィの中に入れると暖かく直ぐ寝付けたが、もって1時間程度。
トイレの際にもう一度湯たんぽを作くり直した。
23:40
平出カメラマンが撮影に来た。
寝る際に出発時刻を聞かれ0時と答えていたが、この寒さであまり良く寝れてないので1時過ぎに訂正したいと申し出た。
0:50
またもトイレ。
隣で寝ていた石田選手が起床しておりガスバーナーでパンを焼いていた。
そんなバーナーの使い方初めて見た...。
もう出発するのだろうが、私はもうちょっと寝たいのでまた湯たんぽを作り横になった。
地面に霜ばしらが立っていた。
1:50
片野選手と一緒に出発。
寒いので上下ダウンを来たまま出発したが、すぐ熱くなってコルの手前で半袖短パンになるが、コルに出た途端に風が強くまた寒くなる。
そんなの当たり前なのに先読み出来ない程思考回路が低下している。
TJAR三大イヤな区間ラストの百間洞~聖平。
中盛丸山は50分程で山頂通過。
遠く後ろの百間洞小屋付近に柏木選手、前方は兎山頂付近に石田選手のヘッデンが見えた。
ここの下りも妙に長いし歩きにくいので嫌いだ。
小兎のコルで寒くなりレインの上だけ着用。
片野選手にその間抜かれたが、ペースが段違いに速い。
兎山頂までで5分以上差が開く。
明らかに石田選手を追っているのが分かったが、ここで離されたらもう会えないかもと不安が過ぎった。
3:55
聖に取り付く。
朝が近づくと調子が徐々に良くなって行くのも私の特性で、ペースが上がり始めた。
中腹で5分前に片野選手が見えた。
片野選手が脚をひきずって苦しそう。
山頂手前で追いついて、あとちょっとで南アが終わると励ました。
5:15
聖岳山頂ピーク。
遂にTJARの3,000m峰全てが終わった。
朝陽はキレイで登りながら何枚か撮影。
片野選手が歩くのも精一杯な程脚が痛んでいるようで、山頂に目もくれず下山。
登山者から10分前に石田選手通過の情報もあった。
下山に入ってすぐ片野選手から「 まさかこの景色が見れるなんて思わなかったです。ありがとうございます」と御礼の一言。
一年前はTJAR選手になれるとは露も思っていなかっただろう。
こちらこそこの1年山練付き合ってくれてありがとうと御礼を返した。
後は南岳を残すのみだ。
聖岳からの下山はガレていて普段は苦手。
今回小屋から登って来る登山者が多く、声援を頂けるのでいつもより楽に下りれる。
片野選手が少しずつ離れて行く一方、石田選手が近くなって行った。
小屋で石田選手と合流。
片野選手も間も無く到着。
脚の痛みが解消されて来ているとの事。
小屋でご主人と4人で談笑しながらカレーとフルーツポンチを食す。
携帯を充電し、シェルターも欲して更にコーヒーとコーラを飲み眠気を飛ばした。
結構滞在時間は長めで4分〜50分はいただろうか。
「 まーボチボチ行きますか... 」的に片野選手が出発。
5分後に石田選手と一緒に最後の南岳に取り掛かった。
7:40頃
南岳に取りかかってすぐ石田選手が「 歌が聞こえる! 」と言って私の首元の匂いを嗅ぎに来た。
一瞬「好きにして..」と思ったが、噂の石田選手の幻聴幻覚を生で見れた事を嬉しく思う。
ここからの石田選手が速い。
どこにこんな力が残ってるのと言うレベルで南岳を50分かからずに登った。
途中で片野選手を追い越したが、もう着いて来れるスピードでは無い。
自分もスーパー男澤モードに入れてアクセル全快。
※倉橋さん撮影

自分も石田選手の写真を撮ろうとしましたが、あっと言う間に小さくなります。
9:20茶臼小屋到着
何と茶臼小屋まで1時間40分のPBで到着。
石田選手が応援者と話している間に、1人小屋到着の図。

茶臼小屋に来るとパブロフの犬状態でビールが無性に飲みたくなりますが、我慢でジュース2本とパン二個購入しベンチで補給します。
先月ここでキレイな女性登山者と飲んだのが夢のよう....。
石田選手はいつに間にか食堂で茶臼丼を食べてました。
シェルターを干してたら片野選手到着。
ほぼ入れ替わる形で10:00頃に出発。
ここから大苦戦。
茶臼小屋までのペース上げで脚を使い切り、全然下山が出来ない状態に。
途中の水場で15分程ゴロ寝して回復を待ちますが、全然ダメ。
ヒザからお尻にかけての靭帯と筋肉が張ってしまい、大きく踏み出せないし痛みも酷い。
途中でTJAR選考会で知り合った静岡の堀君の逆走応援あり。
何とか横窪沢小屋に降りて木村さんに挨拶。
コメントは竹内選手へのメッセージにした。
小屋に寄ろうか迷ったが、茶臼小屋で大休憩していたので、そのまま行く事に。
木村さん申し訳ありません。
そこからもペース上がらずトボトボ1人で歩きます。
※宮本夫妻撮影
ヤレヤレ峠は登る気力無しで、川を渡渉する事にしました。
川で10分くらいアイシングしますが全然ダメ。
石田選手、片野選手が追いついて来ないのも気になります。
13:00頃
吊橋の所に来ると藤沢の伊藤夫妻が待ってくれており嬉しい再会。
奥様のリカさんは私が吊橋を渡って来ると思ったらしく、吊橋の真ん中くらいから「怖い怖い」と言いながらUターンをしてくれました。
色々お喋りをしたかったのですが、この時点で完走が出来るか不安で、時間を歩きながら逆算。
残り35時間で95kmくらい。
1km22分で行かないとゴール出来ない試算。
この時点で1km15分〜17分かかっており、10km歩いて50分休憩が限界。
ズタボロの状態でこれは厳し過ぎる。
悲壮感しか無くなり普通の会話が出来なくなってしまいました。
おまけに林道出てから頻尿が発生。
医療系の伊藤夫妻から浮腫む前兆だと忠告を頂く。
1時間30くらい掛かってダムまで何とか歩くと飯島委員長がいたので「 脚が動かない、もうダメかも知れません 」と申告。
飯島委員長は苦笑いしながら「 最後まで付き合うよ 」と言ってくれた。